血と地と知。
その力は永久に続くものではなかった。
いつの間にか力はなりを潜め、気付けば何の変哲もない人間になっていた。
見る風景が大きく変わった。
木々は「緑」から緑に、花は「桃色」から桃色に、人間はまるで人形のように。
対象が変化したのではなく、僕自身が変化したのだ。
何かを視る能力、感じる能力が極端に低下しているのを感じた。
恐らく嗅覚も触覚も聴覚も、あらゆる力が低下していたとも思う。
それからは脱色された世界で生きているような感覚。
力を失った反動は大きく、体力的にも精神的にも辛い時期が続く。
そんな時期のピークだった頃の作用だろう。
僕は仕事を辞めて、地元に戻ったのだった。