黄泉の国
僕が31歳のとき、母親は亡くなった。
母の死に際して、僕は夢を見た。
母が僕を一緒に連れて行こうとしている夢だった。
しかし、途中で母はそれを止めた。
理由は分からない。
しかし、全てではないけれど、一部は連れて行かれたような気がした。
精神的に堕ち、体は不調となり、ある程度回復するまでに時間を要した。
母は僕を連れては行かなかったけれど、代わりにだろうか、犬を連れていった。
母が亡くなった翌日に犬は死んだのだ。
その日は友引だった。
僕は今ではほとんど回復しているけれど、根っこの部分では全然である。
というか、もう回復するというものでも無いのだろう。
僕のうちのいくらかはもう違う世界に行ってしまっている。